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最高裁判所第二小法廷 昭和29年(し)60号 決定 1954年11月22日

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

本件特別抗告申立の理由は、憲法三七条違反を主張するけれども、その実質は再審の手続に関する単なる訴訟法違反の主張に帰着し、適法な特別抗告の理由にあたらない。(のみならず、刑訴四三五条六号に基く再審の請求にあたり、あらたに発見した証拠として証人の取調を求めている場合でも、必ずその証人の取調をしなければならないのではない。なぜなら、その証人の取調をするまでもなく、再審の請求の趣意書、これに添えた証拠書類等およびその確定事件の訴訟記録について必要な調査をするだけで、または他の方法による事実の取調をすることによって、再審の請求の理由のないことが明らかになる場合が、いくらでもありうるからである。昭和二八年(し)一二号同年一一月二四日第三小法廷決定、集七巻一一号二二八三頁参照。本件もその一場合であって、原審の判断に何等違法はない。)

よって刑訴四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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